篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

篠笛の材は竹。竹は竹でも、美味な孟宗竹(18世紀ごろ中国から移植)や、尺八の材料である太い真竹とは異なり、程よく細い「女竹(めだけ)」が篠笛の材となります。

「竹取物語」の主人公・かぐや姫が生まれたのもこの女竹。

女竹は寒い地域を除いて全国的に見られる一般的な竹ですが、女竹を商業ベースで利用している地域は、九州の大分や熊本、そして関東の千葉などに限られます。

篠笛文化研究社では九州と千葉の竹の両方を利用していますが、今回は、いつもお世話になっている竹材屋さんにご挨拶のため、千葉は房総半島に行って参りました。
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房総半島の南端に近付くと、川沿いを中心に竹が群衆しています!
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女竹の別名は「川竹(かわたけ)」。川沿いを好んで生えるためです。

女竹の特徴は一節が長いことですが、それでも篠笛(六本調子~八本調子)になり得る長さのもの(長くても太すぎるとダメ)は一竿に一節か二節。

美しい青竹と黄色の皮(稈鞘 かんしょう)とのコントラストが美しいですね。

植物学的には正確ではなりませんが、成長しても皮が付いたままのものが「笹」、成長すると皮が落ちてしまうものが「竹」と分類されることがあります。

今回は成田まで飛行機。そこからレンタカーで移動いたしました。
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緑が豊富で、成田の駅前から房総半島までコオロギをはじめ秋の虫の声でいっぱい。
京都で聞くそれの10倍の音量と言っても言い過ぎではございません。

二次林でしょうか?CTスキャンのように断面が確認できました・・・農学部卒ですが、この辺りの眼力が弱く申し訳ございません・・・ 

急ぎ足ですが、「成田山・新勝寺」「鹿島神宮」「香取神宮」「佐原」にも参りました。
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↑成田さんの門前町
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↑鹿島神宮の御手洗池
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↑左・鹿島神宮の要石 右・香取神宮の要石
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↑佐原囃子で有名な佐原の町並み

また、一日遅れでの到着となりましたが、上総一宮・玉前神社に関連する十二社の神輿が浜降りする釣ヶ崎のお旅所にも参りました。
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浜に打ち上げられた「寄り物」の数々。これについては、また別記事で詳述いたします。

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ウミガメも産卵に参るようです。

今回は香織さんと二人での移動。女竹に関しては彼女の方が判っているので助かりました。

東京楽器コレクションにて篠笛演奏

「東京楽器コレクション」で篠笛を吹かせて頂きます。15年以上のお付き合いとなる東京の大塚竹管楽器店(「獅子田」)のご縁となります。皆さま是非!
2017東京楽器コレクション
キーボード  都啓一、久宝留理子  by 株式会社コルグ
サックス  JGサックス四重奏  by 柳澤管楽器株式会社
ビブラフォン  宅間善之  by 株式会社斉藤楽器製作所
篠笛  森田玲、森田香織  by 有限会社大塚竹管楽器
オカリナ  nystyle  by 株式会社大塚楽器製作所
フルート  藤井香織、藤井裕子(ピアノ)  by 株式会社三響フルート製作所
アコーディオン  田ノ岡三郎  by 株式会社トンボ楽器製作所
津軽三味線  小山豊  by 株式会社三島屋楽器

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2017年10月2日・文京シビック小ホールにて開催します。史上初!邦楽器から電子楽器まで、ジャンルの違う楽器メーカー8社による共催。各メーカーイチオシの超豪華アーティストによる演奏で、古今東西さまざまな「音」を一晩で味わい尽くす、欲張りなガラコンサートです。

東京楽器製造協会
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チケットぴあにて発売中。
→ http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1734840

御寺 泉涌寺別院・雲龍院での「お月見の会」のご案内

恒例の京都・雲龍院での「お月見の会」のご案内です。
三日間ございます(お問い合わせ先が異なります)
秋の虫の声とともに篠笛の音色をお楽しみ頂けます。
我々奏者にとっても、一年で最も贅沢なひとときです。

毎年、好評で満席となりますので、お早めにお申し込みください。


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以前の「お月見の会」での篠笛演奏の動画 ↓



10月3日(火)<京都定期観光バス>17時 京都駅烏丸駅集合
10月4日(水)<京都定期観光バス>17時 京都駅烏丸駅集合
https://resv.kyototeikikanko.gr.jp/

10月5日(木<雲龍院主催>18時~
http://www.unryuin.jp/

ーーー<内容>ーーー
薬師如来拝観
ひと文字写経奉納
ライトアップの庭園鑑賞
お茶席(悟りの間)<茶道扶桑織部家元 尾崎米栢>
点心
篠笛演奏会<森田玲・森田香織>
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皆さまのお越しをお待ちしておりますm(_ _)m

岸和田だんじり篠笛の音の変化憂い、CD付き冊子で伝授
毎日新聞2016年9月15日

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だんじりが街中を駆け巡る「岸和田だんじり祭」が17、18日、大阪府岸和田市で開催される。勇壮な祭りを彩るのは、篠笛(しのぶえ)や太鼓が奏でる軽快な鳴り物だ。今年のだんじり祭を前に、篠笛奏者で、篠笛販売の会社「民(たみ)の謡(うた)」(同市五軒屋町)を営む森田玲さん(40)が、吹き方などをまとめたCD付き冊子「岸和田地車(だんじり)囃子(ばやし)・鳴物(なりもの)篠笛事始メ」を出版した。初心者がつまずきやすいところなどを丁寧に解説した篠笛の入門書。森田さんは「地域の文化、祭りを再考する契機にしてほしい」と話す。

     大阪府忠岡町出身の森田さんは幼い頃から毎年、母親の実家がある岸和田市内のだんじりを曳(ひ)いていた。篠笛や太鼓の音は体に染みついた森田さんだが、その音に違和感を覚えたのは大学4年の時。下宿先の京都市内から、久しぶりに岸和田に帰って来た時のことだった。篠笛の音が以前よりも響きを失い、旋律も短くなったように感じた。

     そのころの主流は細い篠笛。息を吹きこむ孔(あな)も小さく、簡単に音が出る一方、音が裏返りやすく低い音が出づらくなる難点もある。低い音を避け、高い音から始まる旋律のみを吹くため、旋律に多様性がなくなったと感じた。

     曳き手の呼吸を合わせるために吹くホイッスルが広まり、その音で篠笛の音が聞こえにくいことも気がかりだった。変わりつつある祭りの音。森田さんは大学をやめて楽器店を始め、篠笛の復活に乗り出した。

     約10年前からは、だんじりを担う地元の青年団や子どもたちを対象に篠笛を教え始めた。そこで感じた課題をもとに、篠笛への理解を深めてもらおうと冊子にまとめた。構え方や呼吸法をわかりやすく説明したイラストやCDも添え、子どもから大人まで活用できるよう心がけたという。「篠笛は太鼓の勢いに、みやびさや華やかさを添える存在。自在に吹けるようになる若者が増えて、今以上に魅力的な鳴り物になればうれしい」
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    2017年6月に店舗を移転しています(岸和田市本町7-19)
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    紹介動画


    通販
    篠笛文化研究社 
    http://www.taminouta.com/001-narimono-kotohajime.html 
    Amazon https://www.amazon.co.jp/dp/4990373235/

    今回は「篠笛が篠笛であるために不可欠」な「指打ち」についてお話したいと思います。

    リコーダーのタンギング
    「フエ」と聴くと、皆さんはどのような楽器を連想しますか?ここは篠笛のブログですので「篠笛」と答えてくださるとは思いますが、一般的には小学校の縦笛・リコーダーを連想される方が多いように感じます。

    皆さん当時、タンギングを練習した記憶はあるかと思います。タンはtongue(舌)、タンギングはトゥトゥと舌を使って息を切る奏法です。フルートもタンギングを用いるようですので、フルート経験者の方はタンギングに慣れています。

    日本の小学校レベルのリコーダーでは、タンギングによって同じ音の連続音を表現し、その他の音もはっきりと表現することができます。


    篠笛の指打ち
    篠笛も、タンギングで音を区切ることは「物理的には可能」ですが、「篠笛らしらに欠ける表現」となってしまいます。

    それでは、篠笛ではどのように音を区切るのでしょうか?

    篠笛では伝統的に「指打ち」という奏法を用いて音を区切ります。この奏法が篠笛の音を篠笛たらしめているといっても過言ではありません。

    「指打ち」とは、読んで字のごとく、指で孔を打って音を区切る奏法です。息を出し続けている状態で「指打ち」をすることによって、音を区切ることができます。

    ボタンを押さえるような緩慢な動作ではなく、指を高く上げ、指と孔との距離を十分に取って、指の付け根から歯切れ良く指を打ち込みます。太鼓をバチで打つ要領です。
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    指が孔に触れた瞬間に篠笛の管内の圧力が変わるため、鼓膜に響くピロピロ(ピャンピャン)とした「破裂音」が生じます。この音を、ここでは仮に「竹鳴(たけなり)」と名付けておきます。

    このインパクトのある現象を初めて体験する人は(吹き手も聞き手も)、皆さん一応に驚かれます。

    時系列的には、

    「A音」<竹鳴>「A音」

    となって、「A音」が二つに分かれます。
    <竹鳴>は一瞬で「音程」として認識されない複雑な音です。

    ここで質問です。

    五つの連続音を表現するには何回指を打ては良いでしょうか?

    慣れないうちは、思わず五回指を打ってしまう方が多いですが・・・

    正解は、四回です。

    一音目は、無音、あるいは、他の音程からの変化ですので、指を打つ必用はありません。慣れていない段階では、この「ゼロ回目」に指を打って音が乱れる人が多いので注意が必用です。

    ロールケーキを五人で分ける時に包丁を何回入れるのか・・と同じ要領です(笑)


    このように「指打ち」は、同じ音が連続する時に使われますが、この鼓膜に触る「竹鳴」は、すべての音の移り変わりの「狭間」でも大切となります。運指(指使い)が変わるときに、つまり孔を押さえる瞬間、孔から指を離す瞬間、歯切れ良くそれを行なうことによって、音と音の間に「指打ち音」が挟み込まれ、ピロピロと篠笛らしい華やかな音が散りばめられます。


    「A音」<竹鳴>「B音」

    「指打ち音」が「篠笛らしさ」に直結しますので、私は演奏中、常にこの「指打ち音」に意識を集中しています。「指打ち」音がない、あるいは弱いと「棒読みの笛」に聞こえてしまいます。

    篠笛は、息を伸ばしたまま巧みに指を動かすことで旋律を紡ぎます。ただし、ずっと一定の息を出し続けるのかというとそうではなく、効果的な「竹鳴」が響くように、息の速度や喉の形、舌の位置など、息遣いの工夫が必要です。

    初心者の段階では、あまり難しく考えず、保育園児が大きな声で歌うように、元気良く吹いておきましょう!


    指打ちの練習
    はっきりとした「竹鳴」を出すには、まず笛を唇に当てずに笛を持って指を打つ「空打ち(からうち)」の練習が効果的です。高い指の位置から的確に孔を捉えることができれば、「ポンポン」と竹管の空音が鳴ります。はじめは指が動きにくいかもしれませんが、それは日頃使っていない筋肉や神経を必用とするからです。利き手の逆の手でお箸を持っている状態です。そのうち慣れてきますので頑張りましょう!


    篠笛は楽器だけでは篠笛足り得ません。奏者による篠笛らしい奏法をともなって初めて篠笛となる「半作音楽器」です。


    「指打ち」を大切に!

    追記(1)
    無理なく指打ちが可能な自然な位置から大きく外れて指孔を配置するドレミの笛などは、篠笛の命とも言える「指打ち」が困難となります。

    先日、七本調子の笛だと指が届かないので八本とか九本の笛でお稽古を始めて良いですか?という質問がございました。大人の方が七本調子で指が届かないということはあり得ないので、一度その笛をお持ちくださいとお伝えし拝見したところ、ドレミの笛でした。右手の指孔の配列に無理があり、不自然な指の開き方をしないと孔を押さえることができない笛でした。


    追記(2)
    外国の楽器については知識が少ないので確かなことは言えませんが、機械式の近代フルート以前の古典的なフルート、あるいは日本の学校教育のものではないオリジナルのリコーダー、その他、世界各地の楽器の中には、篠笛の「指打ち」と同じような奏法はあると予想されます。

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