篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

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あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。

昨年は、これまでの篠笛の演奏・指導・製作・販売・調査研究活動の集大成である『日本の音 篠笛事始め』を発刊することができ、多くの皆さまからご好評を賜ることができました。ひとえに、社員をはじめ、門下生の皆さま、そして、篠笛や教本をご購入くださった皆さま、フェイスブックやブログをお読みいただいている皆様の励ましがあってのことと感じております。

また、より活動内容を明確にするため、社名を篠笛文化研究社に変更いたしました。その名前に恥じぬよう、篠笛の歴史文化、そして、篠笛の出自である祭の調査研究を進めているところです。

今年は、これまでの活動を続けるとともに、篠笛製作にあてる時間を増やし、日本十二律調音篠笛「京師ーみやこー」と「岸極ーきしのきわみー」の在庫を増やして参りたいと存じます。そして、既成品では対応できない祭の笛の特注篠笛の相談にも力を入れて参りたいと存じます。

長い歴史を持つ日本の篠笛、その歴史的な文脈に沿いながら、現在、そして未来の日本の子供たちに伝えたい篠笛文化の継承・発展に寄与する活動を行なって参りたいと存じます。

本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

株式会社 篠笛文化研究社(民の謡)代表取締役
玲月流 初代 篠笛奏者 森田玲


12月24日は三重県は桑名、増田神社にて伊勢大神楽(いせだいかぐら)の総舞。
山本勘太夫組の皆さまをはじめ伊勢大神楽の皆さまにお世話になって15年以上が経ちました。
毎年ご挨拶に参っております。
伊勢大神楽の笛は、岸和田の地車(だんじり)の笛とともに、玲月流・篠笛の原点。

伊勢大神楽の獅子舞の特徴の第一は、聖獣である唐獅子がヒトの如く鈴や御幣で採物舞も行なうこと。
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放下(ほうか)と呼ばれる曲芸も必見!

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写真 森田玲『日本の祭と神賑』創元社

清らかな篠笛の音が鳴り響く中、壮麗な獅子舞、放下の至芸、万歳の話芸を堪能いたしました。
<鈴の舞>
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<献灯の曲>
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<神来舞(しぐるま)>
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<玉獅子の曲>
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<魁曲(らんぎょく)>
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また来年のこの日に向けて充実した一年を過ごしたいと思います^_^
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今年も伊勢大神楽のお獅子に桜4歳の頭を噛んで頂きました!
今年は号泣せず…成長しました^_^

桜0歳

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12月23日の夜は、四日市祭(諏訪神社)で獅子舞を務める南浜田の会館に参りました。
特注の篠笛の案件です。
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完成間近の特注の篠笛を実際に吹いていただいて、音階や響き吹き心地などをご確認いただきました。
満足いただけたようで一安心!
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作 笛師・森田香織

いつもの「京師ーみやこー」の工夫は隠し味に留め、
見本の笛の響きの再現に努めました。
籐巻がなく全体的な黒の漆塗りです。管頭に何か飾りを、とのご注文でしたので、日頃は施さない細工に挑戦してみました。


小学生から八十代の重鎮の方まで世代を越えての獅子舞の練習を拝見し、地域において祭の果たす役割の意義を再認識いたしました。

先日、香織さんが残業で遅いと思ったら、こんなん作っていたみたいです^_^
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スチール製のおままごとセットに合うシンクとコンロ!

篠笛製作で培われた技術が随所に活かされています?!
扉は開閉式、蛇口、コンロのツマミも稼働します!
何ゆえ、このタイミングでのプレゼントなのか判りませんが、
香織さん曰く「
冬至を越し、新年を迎えるにあたり、一年間よく頑張りましたのご褒美です」だそうです。

とにかく桜は大喜び^_^

この時は、早くお昼ゴハンを食べに行きたかったのですが、桜料理長お手製の、大人には認知不可能な想像上のご飯を何度も頂きました…

今回は「譜面」の活用方法についてのお話です。

篠笛の譜面は明治以降、指孔の押さえ方を数字で示した「数字譜」が一般的で、拙著『日本の音 篠笛事始め』でも、音曲はすべて数字譜で表しています。

(篠笛の習得には旋律を歌で表した口唱歌が有効ですが、これについては機会を改めます)

数字譜は、小学生でもわかる直感的で便利な表記法ですが、練習の間、ずっと譜面を見つめていると、いつまでたっても本番で自信を持って吹くことができず、また、篠笛の音色や表現も向上しません。

今回は、譜面を見ながらのお稽古におけるマイナス点について述べたいと思います。もちろん、運指がわからなくなって、確認するための活用は大丈夫です。

以下、思いつくまま記してみます。
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(1)音色に対しておろそかになる。
試しに音楽CDをかけて部屋を真っ暗にしてみください。音が驚くほどクリアに聞こえるはずです。これは視覚からの情報がなくなり、その分、聴覚が敏感になるからです。玲月流では、視覚情報を減らすことによって、聴覚を敏感にするため、笛を吹く時は「半眼」です(目を完全に閉じてしまうと、目を閉じるという行為に意識が移り、また、重心が不安定になるので半眼とします)。「半眼」の状態で、かつ、どこにも焦点があっていない状態が理想です。見た目にも気になる「まばたき」も「半眼」であればほとんどなくなります。このようにして、極力視覚情報を減らしたいのですが、譜面を用いると、焦点が一点に集中することになり、また、読んで理解するための精神力を費やしてしまいます。譜面を見ながら吹いている時は、音に対する意識がおろそかになっています。

(2)目の前の模範よりも数字譜?
教室でのお稽古の時、前で模範演奏が行なわれているにもかかわらず、ずっと譜面を見つめている人がいます。手の角度や息遣い、指の動かし方などから、沢山のことを学ぶことができます。譜面はいつでも見ることができるので、模範演奏を見ることができる場合は、その観察に集中しましょう。手元に譜面があると、思わず手が伸びるという人は、譜面は鞄の中にしまっておくと良いでしょう。

(3)笛の角度が固定されてしまう。
笛を吹く時は、息の方向と目線の方向が一致することが理想です。そして、顎や笛の理想的な角度は、運指ごとに微妙に異なります。ところが、譜面を見ながらですと、目線の角度が固定され、結果的に笛と唇が必要以上に固定されてしまって、豊かな表現が叶いません。また、正座でのお稽古の場合、数字が読みにくいなどの理由で譜面が膝元にあることが多く、どうしても理想的な顎の角度よりも下を向いてしまいます。笛や顎の角度が固定されると、全体的に単調な表現となってしまいます。

(4)本番では譜面を見られない(見ない)
玲月流では、本番では譜面を用いないので、最終的には暗譜の状態でないといけません。立って吹く場合に譜面台を立てるにしても、座って吹く場合に床に譜面台を据えるにしても、お客さん、あるいは奉納の場合は神仏との間に隔たりができてしまいます。本番を見据えると練習時から譜面を用いない癖をつけておきたいと思います。

以上です。

文字を書くときでも、歌でも舞でも同じかと思いますが、最終的には手本を見ずに自由に振る舞った時に、伸び伸びとした表現が可能となります。好きな曲は、空で歌うことができるはずです。

運指は、指を押さえた状態だけではなく、前の運指からの指の動き、軌道、そして息遣いの変化から、身体が覚えていきます。頭の中で数字に変換してから指を押さえるという作業では、その身体の反応が培われません。譜面を離れてお稽古を重ねると、息遣いの変化や指運びの移り変わりが、次の音を知る手がかりとして働き出します。

まずは一行、譜面をみずに吹いてみましょう。何度かの失敗の後、意外と簡単に暗譜できることに気付くことかと思います。

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