2-1  どんな篠笛の種類がありますか?

全国には多様な種類の篠笛が存在しますが、おおよそ「均等孔」「古典調」「邦楽調(唄用)」の三種類の篠笛に分けて考えると理解しやすいでしょう。これらの日本的な篠笛とは異なり、西洋12平均律に基づいて作られた「洋楽調(ドレミ)」の笛もあります。


 2-2  古典調・邦楽調(唄用)・洋楽調(ドレミ)の違いを教えてください。

三種類とも調律笛ですが、その基準と音の選び方がそれぞれ異なります。古典調と邦楽調(唄用)は日本十二律を基準に調律されたものです。その十二個の音の中から、どの音を各指孔に割り当てるかによって、古典調と邦楽調(唄用)の笛に分けられます。
古典調は雅楽の横笛(龍笛・高麗笛・神楽笛)の音階に準じた篠笛です。邦楽調は三味線音楽に適したもので、長唄ほか民謡やわらべ歌、桜など、様々な日本の音曲を自然な指運びで演奏することができる篠笛です。洋楽調(ドレミ)は西洋12平均律の音から長音階のドレミファソラシを各指孔に割り当てようとするものです。


 2-3   笛の長さと調子の関係を教えてください。

細くて短い笛ほど高い音が、太くて長い笛ほど低い音が出ます。三味線音楽の世界では、日本十二律という日本の音律を基準に異なる太さ・長さの篠笛を製作し、歌や三味線の音高によって笛を持ち替えます。最も低い音が出る笛を一本調子と呼び、最も高い音が出る笛を十二本調子と呼びます。理論的には、これより低い、あるいは高い篠笛も製作することは可能ですが、三本調子から八本調子までの笛がよく使われます。笛を持ち替えることによって、同じ運指を用いながら異なる音高で旋律を演奏することができるようになります。     
◎参照→〔9-3 篠笛の種類と十二律の対応表


 2-4  初心者です。どの笛を選べば良いですか?

どの曲を吹くのかにもよりますが、まず初めの一本ということであれば、邦楽調(唄用)の六本調子か七本調子の篠笛をお選びください。様々な日本の曲を吹くことができ、高音と低音の両方がバランス良く響く笛で、篠笛の魅力である指打ち音もしっかりと出すことができます。子供や女性の方は、はじめは七本調子の方が持ちやすいと感じるでしょう。

六本調子の篠笛の方が表現力が豊かですが、初心者にとっては六本調子の笛は少し太くて長く指が押さえにくいと感じるかもしれません。また、八本調子は細く短いため、歌口や指孔も小さくなって、音は出しやすいですが、やや音程が高いため、単調な表現になってしまう嫌いがあります。音の出しやすさ、指の押さえやすさ、音色の豊かさなど総合的に判断すると、まずは、六本調子と八調子の間に位置する、七本調子の篠笛がお奨めです。

まったく音を出したことがないという方には、プラスチック製の篠笛「篠音-しののめ-」をお奨めしています。

◎参照→〔2-5 初心者です。プラスチックの笛で大丈夫ですか?〕

八本調子以上の細くて短い笛ですと音が単調になり、一方、五本調子以下の太くて長い笛ですと高音の響きに物足りなさを感じてしまいます。もちろん、これらの笛が悪いわけではなく、その音程・音色が求められる曲では、対応する調子の笛が必要となってきます。


 2-5  初心者です。プラスチックの笛で大丈夫ですか?

プラスチック製の篠笛は幾つかありますが、その中でも「篠音-しののね-」をお奨めします。「篠音」は七本調子・邦楽調(唄用)です。竹の笛は個性があり、その人にとって60点の笛もあれば120点の笛もあります。一方、このプラスチック製の篠笛「篠音」は、笛師が型を作って何度も改良を重ねたもので、多くの人にとって吹きやすく鳴りやすい80点の笛と考えてください。プラスチック製ではありますが、中級者、上級者が吹くと、竹の笛との違いがわからない程よく響きます。プラ管である程度慣れてから竹の笛を選ぶと安心でしょう。

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学校価格(プラ管詳細)→こちら(PDF)


篠笛は天然の竹を素材として一本一本手作りですので、音色や吹き心地に個性があります。また、人によっても相性が異なります。初心の段階ではどの笛が良いのか、自分に合っているのかの判断は難しいでしょう。そのため、まずは、学校教材用としても定評のあるプラスチック製の篠笛「篠音-しののね-」をお奨めしています。この笛である程度、音が鳴らせるようになってから、幾つか吹き比べの上、竹の笛を購入するのが良いでしょう。

プラスチック製の篠笛はリコーダを発売している会社などが製作したものなど幾つか種類がございますが、「篠音-しののね-」は笛師が型を作り改良を重ねた本格的な練習用篠笛です。昭和六十年に発売されて以降、学校の音楽の授業を中心に愛用されています。



 2-6  太鼓と合わせるのにお奨めの笛を教えてください。

比較的高い音が出る、六本調子・七本調子・八本調子の古典調の笛が良いでしょう。六本調子の高音部は音量も大きく深みのある音色で大きな太鼓の音にもかき消されず遠音がさします。特に大甲音(最高音程部分)の音の幾つかを使うと効果的です。八本調子は笛が小さいため、思い切った表現ができませんが、音程が高いため音の抜けが良く、耳につきます。祭囃子を吹かれる場合は、その祭の規定の笛で吹くのが良いでしょう。


 2-7  篠笛の独奏にお奨めの笛を教えてください。

篠笛の魅力を十分に引き出すには、まずは六本調子か七本調子の邦楽調(唄用)の笛が良いでしょう。ただし、それ以外の笛が合う曲、調子が指定されている曲もあるので、まず、はじめの一管が必要ならばどの笛を選ぶか、という意味で捉えてください。味わい深い古典調もお奨めですが、初心者から中級者は、邦楽調(唄用)の笛から始めるのが良いでしょう。


 2-8  桜やわらべ歌、民謡などの演奏にお奨めの笛を教えてください。

邦楽調(唄用)の篠笛が適しています。息遣いを調整すると古典調でも吹くことができ、より味わい深い表現となりますが、初心者は邦楽調(唄用)の笛の方が音を合わせやすいでしょう。


 2-9   三味線・箏などの邦楽器との合奏にお奨めの笛を教えてください。

三味線や箏の曲の音高は、歌い手の音程によって定められたり、曲によっては使う音が決まっていたりします。そのため、調子の異なる幾つもの笛(主に、三本調子から八本調子くらいまで)が必要になりますが、趣味の範囲では、初めからすべての調子の笛を揃えるのではなく、必要に応じて少しずつ買い揃えるのが良いかと思います。初めの一本ということであれば、六本調子・邦楽調(唄用)が良いでしょう。


 2-10   祭囃子の演奏にお奨めの笛を教えてください。

祭囃子には古典調の笛がお奨めです。古典調は、大きな音で歯切れが良く、指打ち音が華やかな篠笛です。祭で規定の笛(調子や指孔の位置)があれば、それに従う方が良いでしょう。


 2-11  〇本調子の音の基準は何ですか?

篠笛は習慣的に六の音(●○○○○○●)が日本十二律のどの音に対応するかを基準として、何本調子であるかを定めています。日本十二律は、三分損益法によって1オクターブを十二に分ける音律で、雅楽や箏、三味線など、日本の音楽で伝統的に用いられてきた音律です。例えば、七本調子はその低い方から七番目の鳧鐘 (ふしょう)の音を第六孔(六の運指)に、六本調子は、その低い方から六番目の双調(そうじょう)の音を第六孔(六の運指)に割り当てています。



 2-12  篠笛の音階を教えてください。 

篠笛の音階は、「均等孔」「古典調」「邦楽調(唄用)」によって異なります。このうち、均等孔の篠笛は、調律はなされていませんが、独特の音階から紡ぎ出される旋律も魅力的です。古典調と邦楽調は日本十二律の音の中から各指孔に音が割り当てられます。古典調は雅楽の横笛の音階に準じており、邦楽調は三味線や箏、桜などの日本古歌、わらべ歌や民謡などが吹きやすい音階となっています。


 2-13  A管の笛は何本調子の笛に相当しますか?

近年「○○調子の笛は〇〇管になりますか?」といった質問が少なくありません。A管、B管といった西洋の基準で篠笛の調子を表現することはできませんが、篠笛の「1」の運指が、おおよそ西洋のどの音に対応するかによって判断することができます。
◎参照→〔9-5 篠笛の調子と洋音との比較表


 2-14  篠笛の音はドレミですか?

篠笛は日本古来の楽器ですので、西洋式ドレミの調律ではありません。現在、篠笛には、日本十二律による調律方法があります。


 2-15  洋楽・現代曲の演奏にお奨めの笛を教えてください。

邦楽調(唄用)の笛で西洋12平均律に近い音を出すことができます。洋楽調(ドレミの笛)は、右手の指孔の間隔が広過ぎて自然な指運びや指打ちが困難です。篠笛らしさ、を大切にする意味でも、邦楽調(唄用)で吹いてみてはいかがでしょうか。その上で洋楽調の笛が必要であるかどうかご検討ください。


 2-16  ピッチが合いません。

篠笛は「奏者」と「楽器」の双方で、求める「音程・音色・音量」を表現する「半作音楽器」です。ストライクゾーンを広くとっておいて(「あそび」を持たせて)、「息遣い」と「指使い」の工夫で狙った音を出す。これによって、豊かな響きを生み出すことができるのです。息の込め方や笛の角度によって、音程は簡単に変わります。「調律」が曖昧だからといって、求める音程を出すことができないという訳ではありません。このような理由から、「古典調」も「邦楽調」も「調律笛」ですが、あえて「調律」を曖昧にしておくことが肝要です。各指孔に対して割り当てる音を厳密にし過ぎると、自然な指で押さえることができない位置に指孔を配置することになり、また、指孔の大小が極端になってしまいます。これでは、篠笛の魅力である「華やかな指打ち音」の表現が難しくなります(この曖昧さのため、本来的ではありませんが「邦楽調(唄用)の篠笛」でも「西洋12平均律」を出すことも可能となります)。

また、ある人にとって吹きやすい笛が、ある人にとっては吹きにくい笛であることが少なくありません。笛と奏者、それぞれに個性があることが、それぞれの吹き手にとって最良の笛と出会う可能性を広げていると言えるでしょう。


 2-17  同じ種類の笛でも音が微妙にずれているように感じます。

篠笛は自然素材の竹を使用しており、一つ一つ手作りです。そのため、吹き心地や音色、各孔から出る音程も微妙に異なります。ただし、各指孔に割り当てられた音には幅があり、息を当てる角度によって、一律(半音)程度は音程を上げたり下げたりすることができるので、同じ種類の笛であれば、同じ音程を出すことは難しくありません。


 2-18  邦楽調(唄用)の各指孔の周波数を教えてください。

銘(笛師)によって調律の基準や各指孔に割り当てる音の高さは少し異なりますが、例えば「京師-みやこ-」の邦楽調(唄用)を製作する際の基準はご確認いただけます。