篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

2017年11月

この秋は博物館での祭に関する講演会や大学の講義が続きました。

篠笛と祭は切っても切り離せません。

舞台の篠笛や歌舞伎囃子の世界から篠笛を始めた若い人たちの中には、もしかしたら「篠笛奏者がなぜ祭の話を??」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

私の場合は、祭の篠笛が入り口でしたので、当初は逆に、歌舞伎囃子の篠笛や、舞台での篠笛演奏会の存在に驚きました。

篠笛との出会いや関わり方は人によって様々かと思いますが、篠笛が最も活き活きと奏される祭の現場は知っておきたいところ。篠笛の音色や奏法は、各地の祭の中で育まれてきました。

篠笛を吹いたり教えたり作ったりする立場に居るためには、篠笛の出自である祭に関する見識を深め、篠笛の歴史の文脈上に自分の篠笛の在り方を見出す必要があると考えています。篠笛奏者になるために試験があるわけではないので、誰でも篠笛奏者になることができるのですが、私は、日々、自問自答の毎日で苦悩しております(笑)。

一口に祭といっても、地域や時代によって様々です。その多様性の中で迷わないために、時代や地域を越えて確かな羅針盤となるのが「神賑(かみにぎわい)」というキーワードです。


2015年には『日本の祭と神賑』創元社を出版し、祭を「神事」と「神賑(かみにぎわい)行事」に分けてとらえる方法を提示しました。この二つの局面を拠り所に祭を見つめ直すと、あたかも二次元の絵が三次元の立体となるように、祭の実像がありありと立ち現れてきます。

書籍の詳細 →http://shinobue.blog.jp/archives/3263983.html


このような祭の基本構造に関する話は、祭をテーマとした講演会だけではなく、篠笛の演奏会でも話をすることが多く、嬉しいことに、予想に反して皆さんに興味を持っていただいております。


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(森田玲『日本の祭と神賑』創元社より)

「神賑(かみにぎわい)行事」を理解するため、以下に概略を述べてみます。

・「祭」には「神事」と「神賑行事」という二つの局面がある。

・我々が普段「祭」と認識し、テレビや雑誌などでよく目にする場面は「神賑行事」の部分である。

・「神事」と「神賑行事」の違いは、人々の意識の方向性によって分けることができる。

・ヒトの意識がカミに向いている場面が「神事」、ヒトの意識が氏子同士あるいは見物人といったヒトに向いている場面が「神賑行事」

・「神事」は厳粛に行なわれることが多く、「神賑行事」は老若男女総出の乱痴気騒ぎになる傾向がある。

・本殿の奥でカミとヒトとの橋渡し役である神職と氏子・崇敬者の代表など限られた者のみが参列して行なわれる「例祭式」は「神事」である。

・カミが神輿など乗って移動する「神幸祭」は「神事」である。

・「神輿」は、時に神賑的な華やかさをともなって舁かれることがあるが、ヒトの意識がカミに向いている場面であるから「神事」に含まれる。

ざっと箇条書きにするとこんな感じです。

これを踏まえて、祭の中の横笛について考えてみます。

例えば、同じ横笛をともなう歌舞音曲でも、
次の図では、社殿に鎮まるカミ様に向かって行なわれているので、神事の歌舞音曲、すなわち「神楽(かぐら)」となります。
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次の図では、アメウズメノミコト(おかめ)に扮して神楽鈴を採った巫女風の人物が舞っているので、神楽っぽい雰囲気ではありますが、見物人などに披露するための芸能ですので、この芸能は「神賑行事」の中の歌舞音曲ということになります。
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そして、篠笛はもっぱら「祭」の中の「神賑行事」の中で育まれてきました。

詳しくは機会を改めますが、日本の横笛の種類と役割の概要は以下の通りです。

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森田玲『日本の音 篠笛事始め』篠笛文化研究社より

最後に少し補足です。

例えば、祭の中で、ある音曲を篠笛で吹く場合に、先ほど述べたように、神社や神輿に鎮まるカミ様に奉る歌舞音曲(神楽)の中で吹かれる場合は「神事の中の篠笛」となり、まったく同じ種類の音曲を奏でる場合であっても、氏子一般や見物人に対する歌舞音曲に伴って吹く場合には「神賑行事の篠笛」ということになります。

そして、ある祭では「神事」で用いられている音曲が、他の祭では「神賑行事」で用いられるということもあり得ます。

少し話が込み入ってきました・・・・

いずれにしましても、自分が演奏している楽器についてよく知ることは素直に楽しいことですし、また、篠笛の音色にも深みが増してくると思います。

これまで祭の篠笛に注目していなかった方は、是非、祭の音風景にも目を向けて(耳を傾けて)みてください!

篠笛「京師-みやこ-」のサンプル音源をアップしました。
お選びいただく際のご参考になれば幸いです。
篠笛01

篠笛02

日本十二律調音篠笛「京師-みやこ-」

笛師・森田香織
監修・森田玲(玲月流初代篠笛奏者)


・  透明で艶のある音色
・  鼓膜に響く指打ち音
・  自然な指孔の配列で無理のない指運びが可能
・  日本の伝統的な十二律に基づく調音

音源は「七本調子・邦楽調(唄用)」です。
エフェクト処理なしの無添加・天然音です。

→サンプル音源  http://shinobue.blog.jp/shinobue-miyako.mp3

一、月(森田玲 作曲)
二、桜(日本古歌)
三、馬鹿囃子(伊勢大神楽)
四、秋の音(森田玲 作曲)<二重奏>

第一管 森田玲
第二管 森田香織

トラック1から3までは天井の高い町家の通庭で、
トラック4は野外で秋の虫の音とともに録音しております。

篠笛教室の場所のお問い合わせが多いので、以下にまとめてみました。

玲月流の篠笛では、全国の皆さんに篠笛の魅力を伝えたいとの想いで、
京都を拠点に、大阪東京福岡で篠笛教室を開講しています。

京都(三条)は個人稽古、
大阪(梅田・天満橋)、東京(恵比寿)、福岡(博多)はカルチャーセンターでの合同稽古です。

京都からですと少し距離がある教室も多いのですが、月に一度、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています(道中は本を読んだり仕事を進めたりしているので、意外とあっという間に到着してしまいます)。

どちらの教室も、真面目に篠笛に取組ながらも、笑いの絶えない明るく楽しい雰囲気でお稽古を行なっています。教室の後の皆さんとのお茶の時間も、楽しみの一つです。

個人稽古は森田香織と森田玲が担当、
カルチャーセンターは私、森田玲が参ります。

体験稽古や見学も可能です。皆さま是非!
IMG_2014(トリミング)
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清らかで豊かな音色を楽しみながら、日本古来の旋律に親しみませんか。
1〜2ヶ月で「わらべ歌」「さくら」、
6ヶ月〜10ヶ月で簡単な「祭囃子」を吹けるようになります。
篠笛のお稽古に加えて、四季折々の祭や伝統行事の紹介もいたします。
篠笛は初めて、音楽が苦手、楽譜が読めない、一度チャレンジしたけど断念したという方も心配ございません。
笛を通して、一緒に日本文化の魅力を楽しみましょう!途中入会の方も、基本から丁寧に教えますのでご安心を!
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篠笛教室のご案内→PDF
教室案内



日本十二律調音篠笛「京師ーみやこー」の価格表です。

これまで生徒さんの篠笛で手が一杯でしたが、仕事の段取りを工夫して、
ようやく生徒さん以外の皆さまにも提供できる数が揃いつつあります。

価格表を作りました。

PDFでダウンロードいただけます>http://shinobue.blog.jp/miyako.pdf


京師匠の音色は下記のページからご試聴いただけます。
http://shinobue.blog.jp/archives/5215541.html

よろしくお願い申し上げます。

篠笛価格表

日本十二律調音篠笛「京師-みやこ-」

笛師・森田香織  監修・森田玲(玲月流初代篠笛奏者)

・  透明で艶のある音色
・  鼓膜に響く指打ち音
・  自然な指孔の配列で無理のない指運びが可能
・  日本の伝統的な十二律に基づく調音


指孔の配列(調音)によって「古典調」と「邦楽調(唄用)」の二種類がございます。

― 古典調 ―
古典的な雅楽の横笛(龍笛や神楽笛など)の音階に近く均整のとれた指孔の配置で、大きく歯切れの良い音が出ます。独奏や太鼓との共演に適しています。息遣いの調整によって歌物の曲も吹くことができます。

― 邦楽調(唄用)―
指孔の大きさを調整することによって、近世の三味線音楽を中心とした邦楽曲の旋律を表現しやすい音階を実現しています。情緒的な音色で、わらべ歌や民謡、三味線などの絃楽器との演奏に適しています。






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