篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

2018年03月

毎年恒例の京都での奉納演奏・発表会のチラシが完成いたしました。今年は数年ぶりにデザインを一新!皆さまお誘い合わせの上ぜひお越しくださいませm(_ _)m
チラシ
玲月流 篠笛 奉納演奏・発表会
篠笛で楽しむ 日本の音「篠楽会ーささらのかいー」

平成30年5月27日(日)
・13:30 奉納演奏
・14:00 篠笛発表会
・15:30 お楽しみ演奏会

<場所> 御寺泉涌寺 別格本山 雲龍院

<入場料> 無料 (雲龍院拝観料 400円が必要です)
 

玲月流門下生と森田玲による奉納演奏会・発表会です。篠笛は日本古来の竹の横笛です。美しい日本庭園を背景に、日本古歌、わらべ歌、祭囃子、新作曲など、日本の音曲を奏でます。透明で瑞々しい篠笛の音色をお楽しみください

<お問い合わせ>
株式会社 篠笛文化研究社
電話 075(708)2614
E-mail info@shinobue.co.jp

チラシ(表・裏)
PDF→http://shinobue.blog.jp/sasara-no-kai2018.pdf 

新作CD「日本の音 篠笛」発売いたしました。

CD「日本の音 篠笛」

定価:本体2,500円+税 収録時間43分 

 篠笛 玲月流 篠笛奏者 森田玲
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◎ 日本古歌・祭囃子・わらべ歌・新曲など日本の旋律全22曲を収録
◎ エフェクト処理なし無添加・天然の瑞々しい透明な響き
◎ 篠笛教本『日本の音 篠笛事始め』に対応
◎ 20ページ詳細解説書付き
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玲月流初代・篠笛奏者 森田玲による篠笛曲集。 日本の芸能の中で育まれてきた伝統的な旋律楽器である竹製の横笛・篠笛。 透明で艶やかな音色と古典的な作曲音曲に定評のあるの森田玲の奏楽で「日本古歌」「わらべ歌」「祭囃子」「新曲」など未来に伝えたい日本の音曲22曲を収録。 録音は天井が高く奥行きのある町家の通り庭で行ない、収録音源はエフェクト処理なしの完全無添加の天然音。遠音のさす清らかで瑞々しい音色と、ピロピロと鼓膜に響く指打ち音をお楽しみください。 
宣伝チラシ
お求めはこちらから
・篠笛文化研究社 → https://taminouta.stores.jp/
・Amazon → https://www.amazon.co.jp/dp/B07BDSJNN3/

曲目

1  東雲(森田玲 作曲)   
2  かごめ (わらべ歌) 
3  凧々あがれ(わらべ歌)
4  鬼さんこちら(わらべ歌)
5  蛍(わらべ歌)
6  あんたがたどこさ(わらべ歌)
7  祇園祭 粽売りの歌(わらべ歌)
8  兎(わらべ歌)
9 姫松(日本古歌)
10 江戸の子守歌(子守歌)
11 天満の市(子守歌)
12 通りゃんせ(わらべ歌)
13 四方の景色(わらべ歌)
14 桜(日本古歌・箏曲)
15 越殿楽(雅楽)
16 岸和田地車囃子の笛(祭囃子)
17 秋の音(森田玲 作曲)
18   馬鹿囃子(伊勢大神楽・獅子舞囃子)
19   篠楽(森田玲 作曲)
20   伊勢音頭 道中歌(日本古歌)
21   月(森田玲 作曲)
22  秋の音-二重奏- (森田玲 作曲)


森田玲(もりた あきら)

昭和51年大阪生まれ。京都市在住。玲月流初代・篠笛奏者。
株式会社「篠笛文化研究社」代表取締役。
京都を拠点に、篠笛の演奏・指導・製作販売調査研究を行なう。
篠笛の出自である祭文化にも造詣が深い。

・第67回文化庁芸術祭新人賞受賞
・京都市芸術文化特別奨励者
・京都大学農学部森林科学科卒業

<主な著作>
『日本の祭と神賑』(創元社)
『日本の音 篠笛事始め』(篠笛文化研究社)
「伊勢大神楽の神楽囃子研究」『民俗音楽研究』(日本民俗音楽学会)


読売新聞さんから『関西よみうり懇話会』vol.5をお届け頂きました。
昨年7月掲載の「論~祭りのこれから」を収録いただいておりますm(_ _)m
よみうり懇話会(小)

関西よみうり懇話会「論~祭りのこれから」

<祈りの形 守り続けて> 森田玲 篠笛奏者(聞き手・木須井麻子)
『関西よみうり懇話会』Vol.5(2018年)

僕にとって祭りの原風景はだんじりです。大阪府岸和田市や周辺の町では、秋の祭りで唐破風屋根に車輪のついただんじりが曳行されます。母の実家がある岸和田市で中学2年まで、だんじりの曳き手を経験したのです。

にぎやかなお囃子、提灯の明かり。五感に響く非日常の出来事でした。大人とおそろいの法被を着ると、地域社会の一員だと感じました。

変化に気づいたのは約20年前、大学時代です。お囃子の篠笛の音がどうも前ほど響かない。理由を調べると、元は1.2センチほどだった笛の内径が2割細くなっていた。吹きやすいけど音の小さい笛がはやっていたのです。

曳き手を鼓舞する伝統のお囃子を取り戻したくて、本来の笛を扱う楽器店を開き、自分でも演奏を始めました。理解してくれる人が少しずつ増え、最近、かつての響きが戻ってきています。

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祭りは日本、そして地域の文化が凝縮され、共同体の核でもあります。江戸時代、岸和田城下の祭りを通して定着しただんじりも、地域の気風を色濃く伝えています。貴重な文化遺産を、後世に継承していかねばなりません。

今後を考えるうえで、他の地域の祭を知ることも大切でしょう。僕は10年かけて東北から九州まで約120の祭りを見て歩きました。
魔をはらう獅子舞を家々で演じる伊勢大神楽は、三重を拠点に近畿や中国地方も巡ります。伊勢参りに代わる場だったようです。広島の「壬生の花田植」は、菅笠に絣(かすり)着物姿の女性が囃子に合わせて田植えをします。豊作の祈りが娯楽にもなっていました。

どの祭りも、その地で代々暮らしを営んできた人々の心と風土を映しています。

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伝統ある祭りに共通する構造があります。神事と神賑(かみにぎわい)によって成り立っていることです。神事は神に祈りをささげる儀式、神賑は神を意識しながら人々が交歓する行事、だんじりの曳行は神賑です。

近年、神賑が土日に変更される傾向がみられます。神事との分離が進むと単なるイベントになりかねません。培われてきた祈りの形を見失わずに続けていきたいですね。

2017年7月21日 読売新聞に掲載分

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