篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

カテゴリ: 祭と文化

「図説だんじり彫刻の魅力」発刊記念映像が完成しました!私、河合賢申の新作「国生み 日本濫觴」の製作過程を、とても美しい映像に仕上げていただいております!
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『図説だんじり彫刻の魅力』の購入方法のご案内

まだ在庫はございますが、お求めの方はお早めにお申し込みください。

★見本ページ →  http://www.taminouta.com/img/PDF/danjiri-sample.pdf

1冊3240円(本体価格+税)

(1)直接販売
  「だんじり彫刻研究会」事務局(賢申堂内)までお越しください。
  〒596-0074 大阪府岸和田市本町7-19(紀州街道沿い)
  電話 072-438-1068
  <地図> → https://goo.gl/maps/ASLfnLwUK6XzEPcB8

(2)通信販売
  下記の口座に「書籍代」と「送料・荷造り料」をお振り込みの上、

「お名前」「郵便番号」「ご住所」「お電話番号」を( kenshindou915@gmail.com ) までお送りください。

  ※ 週一回の発送となりますので、到着まで時間がかかることがございます。

  ・「書籍代」 1冊3240円(本体価格+税)×冊数
  ・「送料・荷造り料」
    (ア)1冊~2冊 500円 
    (イ)3冊以上 1000円

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振込口座 ゆうちょ銀行
  記号 14080  番号 81252121
 口座名 だんじり彫刻研究会

<ゆうちょ銀行以外からのお振込の場合>
店名 四○八(ヨンゼロハチ) 店番 408
普通預金 8125212
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8月18日(日)は弘道館にて講座「日本の祭と神賑」です。今回のテーマは都市祭礼に出る「神賑の祭具」の表記について考えます。

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メディアでは一括して「山車(だし)」と呼ばれることがほとんどですが、この呼び方に違和感を持っている人は多いはず。「山車」は明治以降に一般的になった表記・読み方で、江戸の天下祭における一表現でした。その反省に立って祇園祭に出る様々な「神賑の祭具」の分類案を元に「山・鉾・屋台」という表記が生まれ、先日のユネスコ無形文化遺産登録の際もこの表記が用いられました。ただし、この枠組みから漏れる「神賑の祭具」も少なくなく(「山車」の100倍は良い表現ですが)、ここで思考停止する訳には参りません(地車〈だんじり〉と太鼓台はいったいどこに入るのか?)。私も完全な結論が出ている訳ではありませんが、祇園祭と天神祭に出る「神賑の祭具」から、新たな分類法の糸口を掴みたいと思います。皆さま是非!

お申し込みはこちらから → 
https://kodo-kan.com/classes/kyonomatsuritokaminigiwai_2/

先日、祇園祭で台湾の民俗学者・林承緯先生にお会いし『日本の祭 ー 魂と美の再発見』を賜りましたm(_ _)m 全カラーで美しい写真と中国語での解説。中国語圏の人にも日本の文化を知っていただける絶好の機会ですね。
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拙著『日本の祭と神賑』創元社も参考文献にあげて頂いておりますm(_ _)m 中国語の文書で「神賑」の文字が印刷されたのは初めてではないでしょうか(おそらく「神賑」は日本で作られた単語)。


台湾には日本の統治時代以降にも、その時代を懐かしみ日本の鳳輦型神輿を基にした神輿を新調したりしているようです。戦中には大坂型の地車(だんじり)も曳行されました。機会を見て林先生とじっくりお話をしたいと思いました。

8月1日は一夜官女祭で有名な野里住吉神社(大阪市西淀川区)の夏祭に参りました^_^ 小屋根下が幕式の古いタイプの地車がございました。
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中々おしゃれな彫刻を発見!地車(だんじり)の下部(台木、胴掛幕、水板など)には波の意匠が施されることが多いです。これは地車のモデルが川御座船だったことに拠ります。こちらの中神車は何と浦島太郎。さながら潜水艇です^_^ 神車という表現の由来はよくわかりませんが、神社の石碑には昭和三十年くらいの時点で神車となっていました。ダンジリ→地車→ジグルマ→ジングルマ→神車でしょうか?伊勢大神楽では獅子狂舞→神来舞(シグルマ)→神車舞(ジングルマイ)という転訛のパタンがございました^_^
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この後、尼崎に参って、夜には再び野里に。
境内では「はりげん」の地車囃子と踊りが披露されておりました!蒲生・今福の囃子と踊りとは少し趣きが異なります。大太鼓の縁打ちの入れ方の自由度が高く、踊りは龍踊りよりも歯切れ良く感じました。中々良い感じの地車囃子で、しばし聴き入ってしまいました^_^

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野里住吉神社(大阪市西淀川区)の夏祭。地車(だんじり)が向かい合っての「追い合い」。女の子の「おーたおーた!」の元気な掛声が響きます^_^ 「おーたおーた(追うた追うた)」は地車に一般的かつ歴史上重要な掛声で、元々は天神祭で何十台も地車が出ていたような時代に、前方の地車を追って囃した掛声だと推測しております。泉州では「ケツをかく」とも言います^_^ 岸和田の地車で曳手の横を走って団扇で曳手を鼓舞する「追い役」は、前の地車に追い付かせるための役の意味か…と十数年前に貝塚の南川さんがおっしゃっていました^_^ 二台の車で目的地まで行く時、先行の車に着かず離れずで参ることを「おーおーたで行こう!」とひと昔前は言ったそうです…


野里住吉神社(大阪市西淀川区)の夏祭。宮入一番の太鼓台です。こちらの打手(願人- がんじ)は「後付(尻取り歌)」を歌いながら太鼓を打っていました^_^ 布団太鼓で舁手が尻取歌を唱和することは一般的で、管見の限りで古い記録では、幕末の『皇都午睡』に難波博労稲荷(現・難波神社)の布団太鼓(布団神輿と記される)に触れ「近江に石山の秋の月、月に叢雲花に風〜云々」とございます。枠式太鼓台で打手が歌うのは初めての見聞でした^_^
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色々と勉強になりました!


8月1日は尼崎城下の貴布禰(きふね)神社の夏祭の宵宮に参りました。御園町の地車(だんじり)。明治期に寝屋川あたりでの新調されたもののようです(岩根さんの地車悉皆調査)。下部の平べったい武者彫刻は少しわかりづらいですが元々は欄干だったと思われます。岸和田は欄干が矮小化して犬勾欄に(犬は本物でないの意)。二段の欄干は地車が二階建て構造であることを示しています。二階建て構造は川御座船の特徴。ここにも和船の記憶がございます^_^

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西町の地車(だんじり)。明治期に堺の町で新調だそうです。小屋根下の三枚板正面は天岩戸でした^_^ 中々のインパクト!お兄さんが垂れていた手綱を取ってくれましたm(_ _)m
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辰巳町の太鼓台。太鼓台の本義は神輿の触太鼓ですので、太鼓台一台と地車複数台というパタンが多いです。四方に梵天を立て、日除け雨除けでしょうか上部に布が張られています。これは本式の屋根が付く直前の形態のように感じます。祇園祭の岩戸山は寛政年間に鉾車と同じような屋根が付きましたが、その直前は布製の幕で囃子方の日除けとしておりました。こちらの祭では、かつて船渡御があったようで、その際、船に地車を乗せたのか、船用の地車があったのか忘れましたが、神輿に付き従ったようです。
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尼崎城下の貴布禰(きふね)神社の夏祭。神戸方面もそうだったと思いますが、鉦ではなく鐘が使われます。鐘は完全に仏具で、鉦は仏教系の双盤か雅楽系の鉦鼓かわかりませんが、いずれにしても仏教色が強いです。地車囃子の鉦は祇園祭の鉦を採り入れたように思いますが確信はありません。泉州地域でも鐘を用いる地車がありました(今もあるかも)。音色は若干違いますが、それより奏法が全く異なってきます。元々どちらだったのか、選択の意味は何か…また考えてみます。旋律は天神囃子系です。鐘だと少し雰囲気が異なります。内側を鐘木で打っていました。鐘と鉦の両方を使っている町もございました^_^
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この日は野里と尼崎を言ったり来たりで大変でした。色々と勉強になりました!






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