篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

カテゴリ: 祭と文化

2月9日は弘道館講座「心で読み解く京の祭と神賑(かみにぎわい)」でした。
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テーマは「神楽」と「神饌(しんせん)」。

先学を踏まえつつ、人の心の方向性(ヒト→カミ、カミ→ヒト→ヒト、ヒト→ヒト)を基準に大胆な発想?で「神楽」と「神饌」を紐解きました。
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一番苦手な分野でしたが、今日までに色々と頭の整理ができ、苦手意識を克服することができました。ご来場の皆さんにも概ね満足していただけてようで一安心です。

今日は篠笛で「カミあそび」と「馬鹿囃子」も吹きました^_^

次回は1月27日。いよいよこれまでの神賑論をベースに京都の三大祭を読み解きます。葵祭(古代)、祇園祭(中世)、時代祭(現代)は、それぞれ、ミアレ(カミ迎え)、ミソギ(カミ送り)、オイデが核となっており、様々な祭を理解する時の役立つ基本事項が凝縮されております。皆さま是非!

お申し込み → 
https://kodo-kan.com/classes/kyonomatsuritokaminigiwai/

12月2・3日と、一人で新幹線に乗ることができない彫師、岸和田の河合さんとネクタイを締めることができない篠笛奏者とで秩父に参りした。
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祭の歴史的な背景については昨年のブログをご覧ください
http://shinobue.blog.jp/archives/5601099.html
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秩父夜祭は現行の笠鉾・屋台が登場する江戸期以前からの、秩父神社の姫神・妙見神と武甲山の男神・龍神との年に一度に逢瀬を祝う祭の世界観をベースに成立しています。写真は御旅所の亀の子石(玄武=北極星の象徴)。こちらのホゾに立てられる御幣が二神の依代となるかと思います^_^  玄武ではなく贔屓では?というご指摘もFacebookで賜りましたm(_ _)m
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武甲山と柞(ははそ)の杜・秩父神社(写真右下)。今宵は笠鉾・屋台が登場するはるか以前からの神話的世界も再現されます^_^

12日は宵宮。少し冷えて参りました。秩父祭を知らない人にも馴染みのある有名な秩父屋台囃子。軽快な締め太鼓に大太鼓が俊敏に打ち込まれ篠笛の音がほとばしります!屋台の内部で囃されるため囃子方の姿は見えません^_^ 篠笛の原点は祭の中の神賑(かみにぎわい)!

3日は本宮。畏れ多くも例祭式に参列させていただました。
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例祭式の後、宮司家にての直会(なおらい)にも参らせていただきました。ネクタイ100回くらい練習しましたが、いけていますでしょうか…
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今回の旅の目的の一つは、9月に基調講演をさせて頂いた「日本の祭シンポジウム」の資料を薗田稔宮司さまにお渡しして、ご批判を賜ること(こちらの資料の核をなす図は薗田先生の図を元に作成しております)。

もう一つの目的は、岸和田の河合さんに秩父祭の世界観を体感してもらいながら、一緒に祭談義をすること。

任務はほぼ完了!

夜はいよいよ神幸祭です!

御旅所に神幸列が参りました。続いて中近笠鉾が御旅所入り!ドン!という破裂音が身体に響く距離感で大きな花火が上がっています!秩父屋台囃子と花火の共演。篠笛の音も心地良く響いています^_^

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秩父夜祭ベストショット。御旅所にて笠鉾・屋台と天空の花火。

千早振る秩父の宮のカミ遊び
華ひらひらと柞(ははそ)の彩り 〈玲月〉

神体山である武甲山と秩父神社の間にある御旅所での祭儀をもって祭は終局へと向かいました。祭の核には神事があり、祭の継承、共同体の活力更新という祭の本義を発揮するためには神事と神賑行事とのバランスが大切。秩父祭はそれらのバランスはもちろん、その徹底したハレっぱれ(秩序と混沌)が魅力です。

人々の意識がカミさまに向かう場面が神事、人々の意識がヒトとヒトとの交歓に向かう場面が神賑行事。神事は秘術性が高いものですが、それでも、それを「垣間見る機会」がなければ、その重要性が認識されません。その意味では神輿などの出る神幸祭は、例祭に比べて少し神賑的要素が加味された神事と言え、氏子が目に見えるわかりやすいカタチでカミさまを認識することができる機会となっています。

今回も薗田稔宮司さまとお話しするの機会を賜り、また、公私ともに信頼をおく岸和田の彫刻師・河合さんとともに岸和田祭をはじめ日本の文化、共同体の宗教としての神社神道などについて議論を深めることができました。とても有意義な旅となりました。秩父神社さま、お世話になった祭関係の皆さま、ありがとうございましたm(_ _)m

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夕刻、京都に到着!とりあえず寝るぞ…と思ったのですが…家の鍵を携帯していないという大失態 (-_-;) 香織さんは僕の代行でNHKカルチャー篠笛教室で夕方まで帰ってきません…

バナナはおやつに含まれますか?帰るまでが遠足です。

詰めが甘かったです。

仕方がないので同志社大学のカフェで本を読んどきます。秩父神社でゲットした世界宗教者平和会議の報告書…イスラームや靖国神社、原発事故について参考になりそうな内容っぽいです…

しかしアホにターボがかかっています。鍵くらい持って出ぇー!

11月28日は専修大学にて「祭」と「篠笛」について講義!
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いつもお世話になっている濱崎加奈子さんの講座でお世話になりました^_^ 若い皆さんに「日本文化」についてお話しできる貴重な機会を頂くことができました。ありがとうございましたm(_ _)m 

11月27日、登呂遺跡に参りました。目的はこちら…コト。綺麗なのは複製品です。
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雅楽の中でも日本古来の歌舞音曲である御神楽(みかぐら)や東遊(あずまあそび)などで奏される和琴のプロトタイプのようなコトです。アイヌのトンコリとも関連が指摘されているらしいです。
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同様の楽器を弾く埴輪もたくさん出土しています。赤い漆が塗られていたものもあって、祭の祭具だったのかもしれません。記紀神話などにも見られるように、コトはカミ迎え・カミ下ろしの場面で登場したり(仲哀天皇・神功皇后)、血統の象徴のような描写もございます(素盞嗚尊・スセリ姫・大国主命)。五絃か六絃だとは思いますが、絃の材質は何なのか?登呂遺跡は弥生後期の遺跡とのことですが、養蚕の技術は伝わっていたのか?麻で作ったのか?(鳴るの?)、絹の絃は他所から得たのか?ようわかりませんが…登呂遺跡のコト、割と念願のだったので良かったです^_^ 正倉院以前の横笛出土して欲しい。横笛を吹く埴輪も!


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火鑽(ひきり)を体験してきました。神社の神事では火を使う際(神饌、粥占など)、神事ごとに新しい清浄な火を用います。神道で火が出てくると多くはカミ迎えの場面が多いのですが、仏教では火は奉るもの、カミ祀りの場面で用いられることが多いかもしれません。法灯を絶やさず。古い方が良さそうです。

いずれにしても、マッチやライターで簡単に点火するのでは気持ちがこもらずということでしょう、現在でも火鑽を行う祭は少なくありません。一昔前までは、日常生活では、人力で火をおこしていたはずですので、祭の中に歴史文化が保存されていることになります。

(スギ板+ヒバ棒〈ヒノキ〉)×摩擦 → 種火(スギ粉〉
→ アサ × 息 = 炎

僕は写真の弓ではなく、より簡単な方法でトライ。腕が動かないくらい痛くなりました…

祭は文化のタイムカプセルです^_^

本日、浜松にてカミなきマツリを知る。カミはなくとも「祈り」はあった。ムラのマツリではなくイエのマツリ(祈り)が賑わい化し、神社の祭と同じように共同体の活力を更新している。「浜松まつり」。カミは存在しないが、明らかにイベントではなく祭の匂いがする。マツリにとってカミの存在は絶対条件ではないのか?
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マツリのために共同体があるのではなく、共同体のためにマツリがある。祭は共同体維持のための「民俗知」。とすれば、一般的な神社を主催とする祭(神事+神賑行事)でなくても代替のものがあれば十分であることも想定される。
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「浜松まつり」。「凧上げ」と「御殿屋台」は「神賑行事」に相当する。「神事」に相当する「何か」が必ずあるはずである。ちょっと本気で調べてみたい。突撃ラッパ?の音が耳から離れません^_^


そう言えば、以前「浜松まつり」を熱く語っていた男勝りのチャーミングな女性が北野天満宮界隈に居たような…

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