篠笛草子 〜 ほのかに聞こゆるもいとをかし 〜

日本に古くから伝わる竹の横笛「篠笛(しのぶえ)」の随筆。篠笛奏者で篠笛文化研究社代表の森田玲が綴ります。
Essey about "Shinobue" transverse bamboo flute in Japan,by Shinobue player Akira Morita.

(株)篠笛文化研究社が運営するブログです。

カテゴリ: よくある質問

「よくある質問」をまとめて見ました!
ご参考にして頂ければ幸いですm(_ _)m


1 視覚的な質問 → リンク
1-1   同じ種類の笛でも太さや長さがまちまちですが、なぜですか?
1-2   表面にアザや傷のようなものがあって気になります。
1-3   太い笛と細い笛の違いはありますか?
1-4   重い笛と軽い笛の違いはありますか?
1-5   肉厚の笛と肉薄の笛がありますが、違いはありますか?
1-6   漆塗りと人工塗料(カシュー)の笛の違いは何ですか? 
1-7   籐巻きの役割を教えてください。
1-8   両巻き(天地巻き)と総巻きの違いは何ですか?
1-9   素竹の笛と塗りの笛とでは何が違いますか?
1-10 外見だけで良い笛かどうかわかりますか?


2 篠笛の種類・音階に関する質問→ リンク
2-1   どんな篠笛の種類がありますか?
2-2   古典調・邦楽調[唄用]洋楽調[ドレミ]の違いを教えてください。
2-3   笛の長さと調子の関係を教えてください。
2-4   初心者です。どの笛を選べば良いですか?
2-5   初心者です。プラスチックの笛で大丈夫ですか?
2-6   太鼓と合わせるのにお奨めの笛を教えてください。
2-7   篠笛の独奏にお奨めの笛を教えてください。
2-8   桜やわらべ歌、民謡などの演奏にお奨めの笛を教えてください。
2-9   三味線・箏などの邦楽器との合奏にお奨めの笛を教えてください。
2-10 祭囃子の演奏にお奨めの笛を教えてください。
2-11 七本調子の音の基準は何ですか?
2-12 篠笛の音階を教えてください。
2-13 A管の笛は何本調子に相当しますか?
2-14 篠笛の音はドレミですか?
2-15 洋楽・現代曲の演奏にお奨めの笛を教えてください。
2-16
 ピッチが合いません。
2-17 同じ種類の笛でも音が微妙にずれているように感じます。
2-18 邦楽調(唄用)の各指孔の周波数を教えてください。


3  歌口・指孔に関する質問→ リンク
3-1   初心者です。幾つの指孔の数の笛を使えば良いでしょうか?
3-2   指孔の大小で音に違いはありますか?
3-3   歌口の大小で音に違いはありますか?
3-4   指孔の大小の差が目立つ笛がありますが、なぜですか?


4 奏法に関する質問→ リンク
4-1   右手の指孔をしっかりとふさぐことができません。
4-2   息が続かず苦しいです。篠笛の演奏に肺活量は必要ですか?
4-3   高い音(甲音)が出ません。
4-4   音がカスれてしまいます。笛が悪いのでしょうか?
4-5   指が思うように動きません。
4-6   大きな音が出ません
4-7   指孔を押さえにくいのは手が小さいからでしょうか?


5手入れの方法・保管方法→ リンク
5-1   演奏後の手入れの方法を教えてください。
5-2   笛の保管方法を教えてください。
5-3   管内に露が溜まってしまいます。 
5-4   露切り(道具)は必要ですか?
5-5   管内に水を通して大丈夫でしょうか?
5-6   表面を水で洗っても大丈夫でしょうか?


6値段に関する質問→ リンク
6-1    高価な笛の方が良い音が出ますか?


7教材に関する質問→ リンク
7-1   初心者にお奨めの教材を教えてください。


8その他→ リンク
8-1   何歳から笛を始めることができますか?
8-2   漆にかぶれました。
8-3   持っている笛と同じものを特注できますか?
8-4   篠笛の語源を教えてください。
8-5   赤や黒など管内の漆の色の違いに意味はありますか?
                                  
9資料編→ リンク
9-1   篠笛各部の名称
9-2   篠笛の種類と対応分野
9-3   篠笛(邦楽調)の調子と十二律の対応表
9-4   三分損益法による日本十二律の算出方法   
9-5   篠笛の調子と洋音との比較表
9-6   京師・邦楽調(唄用)の音律表
9-7   運指表

1-1  同じ種類の笛でも太さや長さがまちまちですが、なぜですか?

同じ種類の笛を作る時には、なるべく同じ規格の竹を選ぶようにしていますが、竹は自然素材ですので、どれ一つ同じ太さや長さのものはありません。素材ごとに指孔の位置や大きさを微調整することによって、同じ音程・音階の笛を作ります。


 1-2  表面にアザや傷のようなものがあって気になります。

竹は自然素材ですので、生まれつき、あるいは、成長の過程で風雨にさらされるなどして、部分的に変色したりアザや傷が付いたりします。これらは決してマイナスの要素ではなく、木の木目に感じることができるような竹の味わいです。笛を使い込むうちに、その味わいがさらに増して、笛の識別にも役立ちます。
あざ


 1-3   太い笛と細い笛の違いはありますか?

一般に同じ調子の笛を比べた時、内径の大きい笛の方が大きな音が出る傾向があります。ただし笛によっては内径の小さい笛でも大きな音が出るものもありますので、おおよその傾向と考えてください。多くの場合、太い笛は内径が大きいですが、希に内径の小さい太い笛もあります。また、細い笛の方が持ちやすいと感じる方もいるかもしれませんが、極端に太い笛、細い笛でない限りは、一週間もすればその太さ細さに慣れますので、あまり気にしなくても良いでしょう。


1-4  重い笛と軽い笛の違いはありますか?

一般に重い笛の方が音の密度が高く吹き応えを感じることができます。ただし、笛の音色は、素材だけではなく、歌口や指孔の形などを含めて総合的に決まりますので、おおよその目安と考えてください。


 1-5  肉厚の笛と肉薄の笛がありますが、違いはありますか? 

多くの笛は、見た目を洗練させるために、管尻付近の竹の表面を削って薄くしています。そのため管尻の竹の厚みから実際の竹の厚みを知ることはできません。歌口や指孔から見える断面部分が実際の笛の厚みとなります。竹の厚さと歌口の角度の関係にもよりますが、厚い竹の方が説得力のある音が出る傾向があります。また、薄い竹の方が軽く響く傾向があります。


 1-6  漆塗りと人工塗料(カシュー)の笛の違いは何ですか?

漆は天然の素材、カシューは合成樹脂塗料です。漆の方が、カシューよりも深みがあり艶のある音色となる傾向があります。漆にかぶれやすい方は、人工塗料の笛が良いでしょう。


 1-7  籐巻の役割を教えてください。

籐巻は割れ防止を兼ねた装飾です。籐巻を施していても割れることはありますが、籐巻の部分で割れを止めることができます。割れがひどくなければ、音色や吹き心地を変えずに補修が可能です。


1-8  両巻(天地巻)と総巻の違いは何ですか?

両巻は笛の両端に、総巻は指孔と指孔との間にも籐を巻きます。歌口と指孔との間にも幅広く籐を巻くと豪華に見えますが、若干、音の響きが抑えられてしまいます。そのため、京師の総巻では、歌口と指孔との間には籐巻を施していません。


 1-9  素竹の笛と塗りの笛とでは何が違いますか?

笛の外側については、素竹の方が指打ち音が派手で鋭い音色となります。当初は少しカスレ音が目立ちますが、吹き込んでいくうちに、音に落ち着きが出てきます。漆塗の方は、素竹に比べて初めからカスレの音が少なく透明な音が出やすいですが、少し指打ち音がおとなしく、吹き込んでいっても素竹ほど笛の成長を感じることができません。


 1-10  外見だけで良い笛かどうかわかりますか?

笛の善し悪しは見た目では判断できません。笛師(銘)によって、歌口や指孔の形、音色が異なります。同じ笛師の笛であれば、おおよそ同じ傾向の笛となります。ただし、天然の素材で、かつ手作りの楽器ですので、同じ笛師の笛でも個性があります。なるべく吹き比べて選ぶことによって、自身に最適の笛を見つけてください。初心者の方にはプラスチック製の篠笛「篠音-しののね-」をお奨めしております。


2-1  どんな篠笛の種類がありますか?

全国には多様な種類の篠笛が存在しますが、おおよそ「均等孔」「古典調」「邦楽調(唄用)」の三種類の篠笛に分けて考えると理解しやすいでしょう。これらの日本的な篠笛とは異なり、西洋12平均律に基づいて作られた「洋楽調(ドレミ)」の笛もあります。


 2-2  古典調・邦楽調(唄用)・洋楽調(ドレミ)の違いを教えてください。

三種類とも調律笛ですが、その基準と音の選び方がそれぞれ異なります。古典調と邦楽調(唄用)は日本十二律を基準に調律されたものです。その十二個の音の中から、どの音を各指孔に割り当てるかによって、古典調と邦楽調(唄用)の笛に分けられます。
古典調は雅楽の横笛(龍笛・高麗笛・神楽笛)の音階に準じた篠笛です。邦楽調は三味線音楽に適したもので、長唄ほか民謡やわらべ歌、桜など、様々な日本の音曲を自然な指運びで演奏することができる篠笛です。洋楽調(ドレミ)は西洋12平均律の音から長音階のドレミファソラシを各指孔に割り当てようとするものです。


 2-3   笛の長さと調子の関係を教えてください。

細くて短い笛ほど高い音が、太くて長い笛ほど低い音が出ます。三味線音楽の世界では、日本十二律という日本の音律を基準に異なる太さ・長さの篠笛を製作し、歌や三味線の音高によって笛を持ち替えます。最も低い音が出る笛を一本調子と呼び、最も高い音が出る笛を十二本調子と呼びます。理論的には、これより低い、あるいは高い篠笛も製作することは可能ですが、三本調子から八本調子までの笛がよく使われます。笛を持ち替えることによって、同じ運指を用いながら異なる音高で旋律を演奏することができるようになります。     
◎参照→〔9-3 篠笛の種類と十二律の対応表


 2-4  初心者です。どの笛を選べば良いですか?

どの曲を吹くのかにもよりますが、まず初めの一本ということであれば、邦楽調(唄用)の六本調子か七本調子の篠笛をお選びください。様々な日本の曲を吹くことができ、高音と低音の両方がバランス良く響く笛で、篠笛の魅力である指打ち音もしっかりと出すことができます。子供や女性の方は、はじめは七本調子の方が持ちやすいと感じるでしょう。

六本調子の篠笛の方が表現力が豊かですが、初心者にとっては六本調子の笛は少し太くて長く指が押さえにくいと感じるかもしれません。また、八本調子は細く短いため、歌口や指孔も小さくなって、音は出しやすいですが、やや音程が高いため、単調な表現になってしまう嫌いがあります。音の出しやすさ、指の押さえやすさ、音色の豊かさなど総合的に判断すると、まずは、六本調子と八調子の間に位置する、七本調子の篠笛がお奨めです。

まったく音を出したことがないという方には、プラスチック製の篠笛「篠音-しののめ-」をお奨めしています。

◎参照→〔2-5 初心者です。プラスチックの笛で大丈夫ですか?〕

八本調子以上の細くて短い笛ですと音が単調になり、一方、五本調子以下の太くて長い笛ですと高音の響きに物足りなさを感じてしまいます。もちろん、これらの笛が悪いわけではなく、その音程・音色が求められる曲では、対応する調子の笛が必要となってきます。


 2-5  初心者です。プラスチックの笛で大丈夫ですか?

プラスチック製の篠笛は幾つかありますが、その中でも「篠音-しののね-」をお奨めします。「篠音」は七本調子・邦楽調(唄用)です。竹の笛は個性があり、その人にとって60点の笛もあれば120点の笛もあります。一方、このプラスチック製の篠笛「篠音」は、笛師が型を作って何度も改良を重ねたもので、多くの人にとって吹きやすく鳴りやすい80点の笛と考えてください。プラスチック製ではありますが、中級者、上級者が吹くと、竹の笛との違いがわからない程よく響きます。プラ管である程度慣れてから竹の笛を選ぶと安心でしょう。

f4aa8a41a07930eab906
一般価格  → こちら
学校価格(プラ管詳細)→こちら(PDF)


篠笛は天然の竹を素材として一本一本手作りですので、音色や吹き心地に個性があります。また、人によっても相性が異なります。初心の段階ではどの笛が良いのか、自分に合っているのかの判断は難しいでしょう。そのため、まずは、学校教材用としても定評のあるプラスチック製の篠笛「篠音-しののね-」をお奨めしています。この笛である程度、音が鳴らせるようになってから、幾つか吹き比べの上、竹の笛を購入するのが良いでしょう。

プラスチック製の篠笛はリコーダを発売している会社などが製作したものなど幾つか種類がございますが、「篠音-しののね-」は笛師が型を作り改良を重ねた本格的な練習用篠笛です。昭和六十年に発売されて以降、学校の音楽の授業を中心に愛用されています。



 2-6  太鼓と合わせるのにお奨めの笛を教えてください。

比較的高い音が出る、六本調子・七本調子・八本調子の古典調の笛が良いでしょう。六本調子の高音部は音量も大きく深みのある音色で大きな太鼓の音にもかき消されず遠音がさします。特に大甲音(最高音程部分)の音の幾つかを使うと効果的です。八本調子は笛が小さいため、思い切った表現ができませんが、音程が高いため音の抜けが良く、耳につきます。祭囃子を吹かれる場合は、その祭の規定の笛で吹くのが良いでしょう。


 2-7  篠笛の独奏にお奨めの笛を教えてください。

篠笛の魅力を十分に引き出すには、まずは六本調子か七本調子の邦楽調(唄用)の笛が良いでしょう。ただし、それ以外の笛が合う曲、調子が指定されている曲もあるので、まず、はじめの一管が必要ならばどの笛を選ぶか、という意味で捉えてください。味わい深い古典調もお奨めですが、初心者から中級者は、邦楽調(唄用)の笛から始めるのが良いでしょう。


 2-8  桜やわらべ歌、民謡などの演奏にお奨めの笛を教えてください。

邦楽調(唄用)の篠笛が適しています。息遣いを調整すると古典調でも吹くことができ、より味わい深い表現となりますが、初心者は邦楽調(唄用)の笛の方が音を合わせやすいでしょう。


 2-9   三味線・箏などの邦楽器との合奏にお奨めの笛を教えてください。

三味線や箏の曲の音高は、歌い手の音程によって定められたり、曲によっては使う音が決まっていたりします。そのため、調子の異なる幾つもの笛(主に、三本調子から八本調子くらいまで)が必要になりますが、趣味の範囲では、初めからすべての調子の笛を揃えるのではなく、必要に応じて少しずつ買い揃えるのが良いかと思います。初めの一本ということであれば、六本調子・邦楽調(唄用)が良いでしょう。


 2-10   祭囃子の演奏にお奨めの笛を教えてください。

祭囃子には古典調の笛がお奨めです。古典調は、大きな音で歯切れが良く、指打ち音が華やかな篠笛です。祭で規定の笛(調子や指孔の位置)があれば、それに従う方が良いでしょう。


 2-11  〇本調子の音の基準は何ですか?

篠笛は習慣的に六の音(●○○○○○●)が日本十二律のどの音に対応するかを基準として、何本調子であるかを定めています。日本十二律は、三分損益法によって1オクターブを十二に分ける音律で、雅楽や箏、三味線など、日本の音楽で伝統的に用いられてきた音律です。例えば、七本調子はその低い方から七番目の鳧鐘 (ふしょう)の音を第六孔(六の運指)に、六本調子は、その低い方から六番目の双調(そうじょう)の音を第六孔(六の運指)に割り当てています。



 2-12  篠笛の音階を教えてください。 

篠笛の音階は、「均等孔」「古典調」「邦楽調(唄用)」によって異なります。このうち、均等孔の篠笛は、調律はなされていませんが、独特の音階から紡ぎ出される旋律も魅力的です。古典調と邦楽調は日本十二律の音の中から各指孔に音が割り当てられます。古典調は雅楽の横笛の音階に準じており、邦楽調は三味線や箏、桜などの日本古歌、わらべ歌や民謡などが吹きやすい音階となっています。


 2-13  A管の笛は何本調子の笛に相当しますか?

近年「○○調子の笛は〇〇管になりますか?」といった質問が少なくありません。A管、B管といった西洋の基準で篠笛の調子を表現することはできませんが、篠笛の「1」の運指が、おおよそ西洋のどの音に対応するかによって判断することができます。
◎参照→〔9-5 篠笛の調子と洋音との比較表


 2-14  篠笛の音はドレミですか?

篠笛は日本古来の楽器ですので、西洋式ドレミの調律ではありません。現在、篠笛には、日本十二律による調律方法があります。


 2-15  洋楽・現代曲の演奏にお奨めの笛を教えてください。

邦楽調(唄用)の笛で西洋12平均律に近い音を出すことができます。洋楽調(ドレミの笛)は、右手の指孔の間隔が広過ぎて自然な指運びや指打ちが困難です。篠笛らしさ、を大切にする意味でも、邦楽調(唄用)で吹いてみてはいかがでしょうか。その上で洋楽調の笛が必要であるかどうかご検討ください。


 2-16  ピッチが合いません。

篠笛は「奏者」と「楽器」の双方で、求める「音程・音色・音量」を表現する「半作音楽器」です。ストライクゾーンを広くとっておいて(「あそび」を持たせて)、「息遣い」と「指使い」の工夫で狙った音を出す。これによって、豊かな響きを生み出すことができるのです。息の込め方や笛の角度によって、音程は簡単に変わります。「調律」が曖昧だからといって、求める音程を出すことができないという訳ではありません。このような理由から、「古典調」も「邦楽調」も「調律笛」ですが、あえて「調律」を曖昧にしておくことが肝要です。各指孔に対して割り当てる音を厳密にし過ぎると、自然な指で押さえることができない位置に指孔を配置することになり、また、指孔の大小が極端になってしまいます。これでは、篠笛の魅力である「華やかな指打ち音」の表現が難しくなります(この曖昧さのため、本来的ではありませんが「邦楽調(唄用)の篠笛」でも「西洋12平均律」を出すことも可能となります)。

また、ある人にとって吹きやすい笛が、ある人にとっては吹きにくい笛であることが少なくありません。笛と奏者、それぞれに個性があることが、それぞれの吹き手にとって最良の笛と出会う可能性を広げていると言えるでしょう。


 2-17  同じ種類の笛でも音が微妙にずれているように感じます。

篠笛は自然素材の竹を使用しており、一つ一つ手作りです。そのため、吹き心地や音色、各孔から出る音程も微妙に異なります。ただし、各指孔に割り当てられた音には幅があり、息を当てる角度によって、一律(半音)程度は音程を上げたり下げたりすることができるので、同じ種類の笛であれば、同じ音程を出すことは難しくありません。


 2-18  邦楽調(唄用)の各指孔の周波数を教えてください。

銘(笛師)によって調律の基準や各指孔に割り当てる音の高さは少し異なりますが、例えば「京師-みやこ-」の邦楽調(唄用)を製作する際の基準はご確認いただけます。

 3-1   初心者です。幾つの指孔の数の笛を使えば良いでしょうか?

祭によって使われる笛の孔の数は異なります(七孔・六孔・五孔など)。祭囃子を吹く時はその祭の規定の笛を使いましょう。趣味で始める場合は、七孔の篠笛を使うと良いでしょう。多くの音を出すことができ、様々な曲を吹くことができます。


 3-2   指孔の大小で音に違いはありますか?

指孔の大きい笛の方が、音量が大きく豊かな響きとなる傾向があります(空気の抜けが良くなるため)。ただし、指孔が大き過ぎるとカスレの音が目立ちますので、あまり大きすぎても良くないでしょう。指孔が小さい方が指を押さえやすいように感じるかもしれませんが、ある程度の指孔の大きさがある方が、指で孔の形を感じることができて収まりも良く、安心して指孔を押さえることができます。


 3-3  歌口の大小で音に違いはありますか?

歌口が小さい方が「甲音」(高音)向きで、大きい方が「呂音」(低音)向きと言えます。ただし、歌口が小さすぎると、音が単調で響きか少なくなり「呂音」が出にくくなります。一方。歌口が大き過ぎると「呂音」は出やすくなりますが、篠笛の魅力である「甲音」が出にくくなり、また全体的に音のまとまりが悪くなります。曖昧な表現となりますが、歌口は、程良い大きさで、真円ではなく、やや卵形のものが良いでしょう。歌口への下唇の当て具合が音色に直結しますので、下唇で歌口の形を感じやすい笛が奨めです。


 3-4  指孔の大小の差が目立つ笛がありますが、なぜですか?

指孔の大小や指孔の間隔は調律の結果です。古典調と邦楽調(唄用)は日本十二律、ドレミの笛は西洋12平均律を基準として、調律しています。

 4-1  右手の指孔をしっかりとふさぐことができません。

古典調、邦楽調(唄用)の場合は、適切な押さえ方をすれば無理なく右手の指孔をふさぐことができます。左手は指先(指紋のあるところ)で押さえますが、右手は指を伸ばします。笛を構える前に、指で孔の位置を感じて確認し、その位置を記憶しておくと、間違いないでしょう。

指

また、ドレミの笛は右手の指孔の間隔に無理があります(人差指と中指の間隔が狭く、その他の指の間隔が広い)。特に調子が低い(数字が小さい)太くて長い笛になる程、指孔を押さえるのが困難になります。洋楽や現代曲を吹く場合でも、邦楽調(唄用)の篠笛で対応が可能な場合が多いので、まずは邦楽調の笛での吹奏をお奨めします。


 4-2  息が続かず苦しいです。篠笛の演奏に肺活量は必要ですか?

慣れてくると笛を吹いて苦しいということはありません。10人程を前にして、はっきりとした声で話せるくらいの息の量があれば十分です。初めのうち息が苦しく感じるのは、息が足りないからではなく、無駄な息が漏れているからです。口の周りの筋肉が笛を吹く口の形に慣れてくると、深呼吸のような爽快さで笛を吹くことができます。


 4-3  高い音(甲音)が出ません。

甲音(1オクターブ上の音)は、裏声で歌う要領で、鼻の裏を響かせるような感覚で吹くと出すことができます。結果的には息の速度が速くなることによって甲音が出るのですが、それを意識し過ぎて、唇を左右に引いてきつく締めたり、無理に息を強くしたりすると、雑音混じりの甲音になってしまいます。「吹く」のではなく「響かせる」という感覚が大切です。「3」の運指が最も甲音が出やすいので、まずは「3」の音から練習してみましょう。


 4-4   音がカスれてしまいます。笛が悪いのでしょうか?

笛が悪い場合もありますが、多くの場合は息遣いや笛の位置の問題です。カスレの原因としては「息の強さが適切でない」「息の幅が歌口の幅よりも広い」「歌口と唇の中心がズレている」「唇に対して笛が平行に構えられていない」などが考えられます。また、篠笛は運指ごとに適切な息遣いがあります。例えば「六」の音で良い音が出たとしても、その息遣いのまま運指を「三」に変えるだけだと、歌口から息が溢れ出してしまい(歌口から解放された指孔までの空気柱が長くなるので)、音がカスレます。音のカスレを気にし過ぎると小さくこもった音になってしまいますので、「カスレた音をなくす」というよりも「良く響かせて響きの成分でカスレの音をかき消す」という感覚を持つと良いでしょう。



 4-5  指が思うように動きません。

初めのうちは、指が思うように動かないこともありますが、そのうち慣れてきます(今は左手でお箸を持っている状態です)。笛を口に付けずに、胸の前で斜めに持って、各指の指打ちを訓練してみましょう(「空打ち」)。この時、管内がポンポンと響けば正解です。右手、左手とも、自在に指を打ち込むためには、親指の位置と手首の角度が重要です。
◎参照→『日本の音 篠笛事始め』8~22ページ


 4-6  大きな音が出ません。

篠笛に限りませんが、楽器だけの響きには物理的に限界があります。口や喉の形を調整し、身体全体を響かせることによって、音量が増し、豊かな響きで音を出すことができます。ここでは、笛と身体を繋げる「唇の歌口に対する辺り具合」が大切になってきます。下唇を柔らかい状態に保ち、上唇が前に出過ぎないようにして、息の流れを上下の唇で感じながら、そして、空間の響きを耳で感じながら、理想の音量・音色に近付けます。笛は「吹くのではなく響かせる」。「大きな音」というよりも「遠音のさす音」を目指しましょう。日頃からマイクを通さず生音で演奏することが大切です。


 4-7  指孔を押さえにくいのは手が小さいからでしょうか?

六本調子、七本調子、八本調子くらいであれば、手の大小、指の長短にかかわらず指孔を押さえることができます。親指の位置や手首の角度が大切で、左手は指先(指紋のある位置)、右手は指を伸ばして間接と間接の間で押さえましょう。右手小指は指の側面で押さえても大丈夫です。七本調子であれば、おおよそ小学校三年生くらいから、すべての指孔を押さえることができるようになります。
◎参照→〔4-1 右手の指をしっかりとふさぐことができません。〕

↑このページのトップヘ